2021/01/21

第55〜60次南極観測隊として活躍された
伊藤太市さんによる「南極教室」を開催

2021.01.08_Antarctica1.jpg

1126日、大野町立北小学校5年生の児童を対象に、第60次南極地域観測隊越冬隊の活動を終えて4月に帰国した伊藤さんをお迎えし、「南極ってどんなところ?」と題し南極教室を開催しました。大里研究所ymaホールで開催予定でしたが、感染症対策を考慮して、より広い小学校の体育館で換気をして行いました。

2021.01.08_Antarctica2.jpg

大里研究所は、これまで2013年に第55次南極地域観測隊に選ばれて以来、毎年日本のために過酷な南極でのミッションに参加している伊藤太市さんを応援してきました。
伊藤さんによる北小学校児童への講演は今回で4回目です。

過去の様子はこちら→1回目  2回目  3回目

今回は、南極で着ていた服を展示し地球儀やスライドなどを活用しながら「南極」の気候や南極がなぜ寒いか、南極での仕事、生息動物などについて話をされました。

南極の氷が溶けているとニュースでも取り沙汰されていますが、南極大陸における氷の総量は変わっていないそうです。しかし海にせり出している氷が溶け出しており、海面上昇に繋がっているとのこと。海を調べると温暖化についてわかるので海を調べている、と話されました。
南極観測隊には多くの研究者も参加していますが、「その研究、なんの役に立つの?」と言われてしまうこともあるそうです。伊藤さんは観測隊での経験を踏まえ、「今、役に立つかどうかはあまり重要ではなく、好きなことを調べていったら、いつか人類の役に立つかもしれないので、自分が夢中になって取り組める仕事を見つけて欲しい」と子供達の将来に向けての話もされました。

後半は大里研究所 理事長 林の司会で質疑応答の時間を設けました。
多くの質問があがりましたので一部を紹介します。

Q.南極まではどうやって行くのですか?

オーストラリアまで飛行機で向かい、その後2週間かけて船で調査をしながら南極に向かいます。

Q.南極にお祭りはあるのですか?

冬至が6月にあり、南極にある全ての基地がお祝いをします。その時は仕事も1週間休みになります。

Q.何もないと迷わないですか?

晴れている日は迷いません。GPSもあります。ホワイトアウトと呼ばれる激しい吹雪により視界が奪われると、自分がどこにいるかも全くわからなくなるので基本的に昭和基地からの外出は禁止になります。

そのため、日本は他の隊に比べて南極での死亡者が少ないです。

Q.寒いと火はつくのですか?

南極は空気がとても乾燥しているので、火はつきますが一旦付くと止められません。部屋もストーブではなくボイラーを使って温水で温めています。火災防止のため火を扱えるのは調理人だけで、基地内は禁煙です。

Q.服や持ち物で、特殊なものはありますか?

南極はものすごく寒いので、わざわざ上着を脱いで必要なものを取り出さなくて良いように、上着にポケットがたくさん付いています。全部ポケットは外についており、手袋をしたままでも手が入れられるよう大きいです。無線機を一人一つ携帯しており、そのためのポケットもあります。

2021.01.08_Antarctica3.jpg

伊藤さんが南極で着ていた服

最後に、伊藤さんが南極から持ち帰った氷を見せてくれました。南極では、降った雪が押し固められてゆっくりと氷になります。水をかけると数万年前の氷に閉じ込められた空気がはじけて、パチパチと音を立てました。
滅多に行くことができない南極の話をたくさん聞ける貴重な機会になりました。子供たちにとって、地球環境や自分の将来の夢について考えるきっかけになればと思います。
伊藤さん、ありがとうございました!

2021.01.08_Antarctica4.jpg

南極の氷に水をかけるとパチパチ音がします。
真剣に見つめる子供たち

大里研究所の記事