研究論文

発酵機能食品は急性呼吸器疾患に対して潜在的有用性を持つか?各年齢層の健常人におけるプラセボ対照クロスオーバー臨床試験

Is there a potential application of a fermented nutraceutical in acute respiratory illnesses? An in-vivo placebo-controlled, cross-over clinical study in different age groups of healthy subjects.

J Biol Regul Homeost Agents. 26(2):283-292,2012

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ウイルス性の疾病においてオキシダントが担う役割は、宿主の代謝とウイルス複製の両方の代謝調節に関わっていることからかなり複雑になっている。
しかしながら、活性酸素 (ROS)と活性窒素(RNS)がウイルス性の肺障害のメディエーターとしての役割をしていることが研究により立証されており、したがって抗酸化物質が多くの様々な段階で作用することが期待される。
本研究の目的は、一般的な季節性の呼吸器感染症に影響するとして知られている、いくつかの免疫関連の指標に対する抗酸化物質の栄養機能的なアプローチを試験することである。
被験者は、90人のGSTM1ポジティブで運動習慣のない健常人で構成し、A) 20-40歳; B) 41-65歳; C) 65歳より上の3つのグループに分類した。それぞれの被験者にはライフスタイルと食事のアンケートが行われた。
被験者は1ヶ月間、1日9g(4.5gを2回舌下で摂取)のパパイヤ発酵食品FPP (大里研究所、岐阜、日本) 、またはプラセボを摂取した。その後1ヶ月間のウォッシュアウト期間を置き、次の1ヶ月間、被験者を変えるクロスオーバー法で摂取した。
指標の分析は、白血球数による一般的な血液検査、唾液の流量、分泌型免疫グロブリンA(IgA)、リゾチーム生産、および上気道細胞(鼻洗浄液による)からのSOD酵素(スーパーオキシドディスムターゼ)とフェーズ2酵素(肝臓にある解毒酵素)の酸化還元酵素の遺伝子発現を測定した。
唾液分泌量は、年齢によって減退するが、若年層ではFPPの摂取によって有意に増加した(p<0.05)。

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FPP摂取群では、IgAとリゾチーム生産において有意な上昇が見られ、試験開始時のベースラインがAグループ(20-40歳)に対して著しく低かったCグループ(65歳より上)も年齢層の違いがなくなるほど上昇した(C vs A, p<0.05)。
FPP摂取は鼻洗浄液の細胞中のフェーズ2酵素群とSOD酵素遺伝子の有意な発現上昇を引き起こした。結論として、1ヶ月間のFPPの摂取が、唾液IgAを増加させ、フェーズ2酵素群およびSOD酵素、それらはすなわち気道における最も重要な抗酸化物質を上昇させた。

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これらの有意な生物学的作用、つまり人間の気道におけるすべての呼吸性酸化的ストレスや、上気道ウイルス感染症(URTI)の罹患率や重症度を減らす手助けになるかどうかということは、さらなる長期的な臨床研究において立証されることが期待される。

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