研究論文

職業性ストレスにおけるレドックスバランスシグナル: 栄養学的介入による改善

FILE2011

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REDOX BALANCE SIGNALLING IN OCCUPATIONAL STRESS: MODIFICATION BY NUTRACEUTICAL INTERVENTION

J Biol Regul Homeost Agents. 25(2):221-229,2011

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心理社会的ストレスが、酸化的ストレスを高めたり炎症メカニズムの引き金となったりするとともに、細胞ホメオタシスのシステム全体の異常をきたす可能性があるというエビデンスが増えている。本研究の目的は2つあり、 a) 心理ストレスが酸化的損傷を増加させるという研究結果の再現性確認とb)著しい保護的抗酸化特性を発揮することで知られるパパイヤ発酵食品が非遺伝的な防御機構を誘導すると同時に核DNAの酸化的損傷の増加を減らすことができるかどうかを究明することである。 ストレスが多いライフスタイルであるにもかかわらず全般的に積極的な考えを持つ、運動習慣のない28人の男性と女性 (年齢層: 28-52) を被験者とした。深刻な燃え尽き症候群や不安神経症の薬物使用のような臨床疾病は排除基準項目とした。
被験者には1ヶ月間9g/日 (4.5g を1日に2回)の品質保証されたパパイヤ発酵食品を摂取させた。全ての被験者は、食事とライフスタイルの診断とともにストレスと睡眠の質についてのアンケートを提出した。血液は2週間目と4週間目に採取し、レドックスバランスとヘム・オキシゲーゼ(HO-1)遺伝子発現評価のために赤血球と白血球を分離した。また、尿中のビリルビン酸化物(BOMs)を測定した。
ストレス患者はレドックス状態と赤血球のMDAの増加、白血球の8OH-dGの増加とBOMs排出量において有意な異常性を示した(p<0.05)。 機能性栄養補助食品の摂取は、試験2週間後にはそれらの値の正常化 (p<0.05)とともにHO-1の有意な上方調節を引き起こした。
本研究を総括すると、明確な精神病でなくても職業でストレスの多い生活それ自体が、酸化ストレスの増加に関与している可能性があることが確認された。レドックス調節に作用する機能性食品の摂取は、これらの症状で考慮される治療法の一端を担うかもしれない。

img_clinical2011_1_1.gifFPP摂取したストレス患者の白血球中の8OH-dG
§:コントロールと比較してストレス群は8OH-dGのレベルが有意に高い(p<0.05)。 *:FPP摂取により正常値と同じくらいまで減少した。(p<0.05)

img_clinical2011_1_2.gif赤血球中のレドックス状態とMDA
§:ストレス負荷のない人と比較してストレス群は赤血球SODとMDAが有意に高く、GPXが低い(p<0.05)。 *:FPP摂取により2週間後にはMDA値が有意に減少し、4週間後にはSODとGPXも正常レベルになった(p<0.01 対 試験開始時の値)。

img_clinical2011_1_3.gifHO-1遺伝子の発現
*:白血球においてGAPDHおよびCD14遺伝子に対してHO-1遺伝子の発現が有意に上方調節されている。この作用は摂取2週間目には明確に表れており、さらに2週間経た後も変化しなかった。

img_clinical2011_1_4.gifビリルビン酸化物(BOM)の尿中排出量
§:非ストレス群に比べてストレス群の尿中ビリルビン排出量は2倍以上を示した。(p<0.01) *:FPPの摂取により、他の指標と同様BOMsの値も正常値と同じくらいまで減少した(p<0.05)。

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