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研究論文・研究成果

2023/04/26研究論文・研究成果

FPPによる命の回数券「テロメア」の維持。
ヒトにおける老化プロセスを制御し、細胞寿命を延伸する
効果を発表

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論文タイトル:

Effectiveness of a Fermented Functional Food on Telomere Dynamics and miRNAs in Middle-Aged/Elderly Healthy Individuals: A 2-Year Randomized, Double-Blind, Controlled Clinical Trial

中高齢者を対象としたテロメア動態とmiRNAにおけるFPPの有効性:
2年間にわたる無作為化二重盲検比較臨床試験

大里研究所が開発したFPP(パパイヤ発酵食品)の研究において、イタリア・ReGenera R&D International for Aging Interventionのマロッタ教授らが、健康な中高齢者を対象としたテロメア*1動態におけるFPPの有効性を学術誌「Journal of Biological Regulators and Homeostatic Agents」に発表しました。

本研究では、FPPまたは抗酸化物質を摂取するグループに分け、2年間にわたる無作為化二重盲検比較試験による検証を行いました。FPP群では、テロメア長を維持する遺伝子TERTおよびWrap53の発現量の増加を認めました。また、試験終了時において、テロメアを伸長させる酵素テロメラーゼ活性は抗酸化物質群と比べ50%以上増加しました。この結果から、FPPは、高齢者(60-74)の白血球におけるテロメア短縮化を抑制することが示唆されました。

また、抗酸化酵素(CAT, SOD1, GPx1)の遺伝子発現は、FPPまたは抗酸化物質の摂取により増加しましたが、FPP群でのみDNA修復酵素遺伝子(hOGG1)および老化を制御するマイクロRNA(miRNA-146a, miRNA-181a)が増加しました。これらの結果から、FPPは、老化の抑制に関わるマイクロRNAの加齢に伴う発現量の減少を抑制することに加えて、テロメラーゼを活性化しテロメア長を維持することが明らかとなりました。

細胞の若返りのカギとなるテロメラーゼ活性は、がん細胞において活性化されていることが知られており安全性への懸念があります。しかし、FPPは、抗腫瘍効果を有することが先の研究でも報告されており(Logozzi et al., 2019)、細胞老化により発症率が高くなる疾病リスクを軽減し、健康寿命の延伸につながることが期待されます。今後も、ヒトにおけるFPPの研究をさらに進め、超高齢社会における医療費削減の実現を目指して参ります。

*1.染色体の末端を保護するテロメアは、細胞が分裂する度に短くなり、ある一定の長さに到達すると細胞分裂が止まり細胞老化という状態になります。そのため、テロメアの長さは細胞の若さを示す「命の回数券」と言われています。

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