研究論文
神経変性疾患の危険因子を持つ中高年被験者における主要なマーカーへのFPPの影響についての2年間にわたる二重盲検無作為化比較試験
A 2-year Double-Blind RCT Follow-up Study with Fermented Papaya Preparation (FPP) Modulating Key Markers in Middle-Age Subjects with Clustered Neurodegenerative Disease-Risk Factors
Clinical Pharmacology & Biopharmaceutics 6:2, 2017
メタボリックシンドロームと神経変性疾患との間には有意な関係が見られることが、近年の研究で数多く報告されている。また、神経変性疾患の蔓延は、加齢による酸化炎症の変化、遺伝的素因、環境的危険因子(食生活、生活様式、汚染物質等)が複雑に絡み合って発生することを示すエビデンスも相次いで報告されている。近年、実験および臨床分野で、パパイヤ発酵食品(FPP)が様々な慢性疾患および老化メカニズムにおけるレドックスシグナル伝達異常に有意に影響を及ぼすことが明らかにされている。本研究の目的は、潜在的に神経変性疾患の危険因子を有する代謝疾患患者の予備軍におけるFPPの使用を評価することである。対象は、ApoE4遺伝子型陰性でメタボリックシンドロームの兆候を有する45〜65歳の90人とした。RCT二重盲検法を適用し、1グループはFPP 4.5gを1日2回、もう1グループは抗酸化カクテル(トランスレスベラトロール、セレン、ビタミンE、ビタミンC )を同様に経口摂取した。21ヶ月後、臨床期間の最後の3ヶ月間、重金属キレート剤を一晩に3g の用量で加えた。測定したパラメータは、酸化LDL-コレステロール、抗酸化LDL、シクロフィリン-A(CyPA)、プラスミノーゲン活性化抑制因子-1およびCyPA遺伝子発現である。本研究において、抗酸化カクテル摂取群では、酸化脂質の評価に統計的に有意な差は示されなかったのに対し、FPP摂取群では酸化LDLが有意に減少し(図1)、抗酸化-LDL / 酸化-LDL比(p <0.001)がほぼ正常化した。また、脂質プロファイルにはいずれも影響を与えなかった。さらに、FPP摂取群でのみ、血漿中のシクロフィリン-A値およびプラスミノーゲン活性化抑制因子が減少し(p <0.01)、シクロフィリン-A遺伝子発現が抑制された(p <0.01)(図2)。
インスリン耐性はわずかではあるが改善された。腸内の重金属の排出は、キレート剤により効果的に増強されることが証明されたが(p <0.01)、いずれの摂取群でも変化はなく、FPPの生物学的作用に更なる有効性をもたらすことはなかった。
これらの結果は、FPPが神経変性疾患の潜在的な補因子である代謝疾患の予防において、注目すべき役割を果たす可能性を示唆している。
(図1) FPPと抗酸化カクテルによる血漿中酸化LDL値の変化
*p<0.001 vs.ベースライン値;
**p<0.01 vs. FPP摂取群
(図2) FPPと抗酸化カクテルによる血漿中シクロフィリン-A 値の変化
*p<0.01 vs. ベースライン値;
**p<0.01 vs. FPP摂取群